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視察Report
3名1組のクルーが1セットになって伝統カヌーを乗りこなします陸揚げされている大きなカヌーではなく、もう2回りくらい小さいアウトリガーのカヌーがあって、そちらに乗船です。ちょっと残念ですが、それでもワクワクです。1艇には3名のクルーが1セットになって乗り込みます。後ろで舵を取る人・中央で帆を操る人・前で進路を取る人と役割分担があるようです。
我々観光客は邪魔にならないように・・・と言ってもカヌーの状況によって前に行ったり、後ろに行ったりと、カヌーの操作は実際は出来ませんが、波をザブンザブンかぶりながらもカヌーを進めるのに貢献しているようで楽しいです。帆の操作と後ろの舵の操作でスピードを上手く調整しているとことで6ノットくらいのスピードがこの小さなカヌーでも出るようです。
方向転換も息がぴったりと流れるような作業で無駄なくこなしますあるところまで行くと今度は方向を反転します。そのままグル~と旋回すれば良いと思うのですが、そうはせずに帆を張っている梁の1つを今度は後ろから前へダイナミックに移動します。その方がカヌーの特性に叶っているのでしょう。アウトリガーの帆のイメージはコンパスを連想いただくとピッタリと思います。支点となるカヌー中央にある梁はそのままで、その支点を中心にもう一方を180°反転するイメージです。
もちろんその反転の移動は人力によります。後ろから真ん中のクルーへその梁を手渡しし、今度は先頭のクルーへと。帆は張っている状態なので、きっとかなり重たいし、足場はユラユラ海の上なので見ているだけでハラハラしてしまいます。
カヌーの進む方向によって前が後ろになり、後ろが前になるので面白いですただ、彼らは当然の作業の1つとでも言わんばかりで流れるように無駄なく方向転換をしていきます。お見事です。そして、これまで後部にあった舵を取り外し、同様にこれまでの前方(実際今度は後方になります)へと設置して、あらためてスタートです。アウトリガーのカヌーは進む方向によって前が後ろになり、後ろが前になるんです。面白いです!
ひっくり返っても笑いながらまた元に戻すだけ!心強い慣れてくるととても気持ちよく楽しいです。変なことを考えてしまいました。もしひっくり返ったらどうなるんだろう・・・と。ストレートに尋ねてみると、笑いながらまた元に戻すだけ。と今乗船しているカヌーの大きさであれば簡単にまた元に戻せるそうです。皆で協力してカヌーを揺すって元に戻すんだそうです。不思議と実際にここでひっくり返っても彼らと一緒なら怖くはない。と感じます。なぜならばカヌーに対して全て分っているし対処も出来る人たちだからです。全幅の信頼をいつの間にか彼らに感じてます。
しかし、もしエンジン付きのボートに乗っていて大波に飲まれてひっくり返ってでもしたら如何でしょう。同じ3名のクルーと一緒の場合でも、これは逆に大変な事になってしまったゾ。と不安を抱き、きっと死をも覚悟すると思います。間違いなくボートをまた元に戻す事は出来ないでしょうし、為す術を持っていないと思います。とても考えさせられてしまいます。
身の丈に合った生き方を実践しているヤップの若者便利なはずのヨットやボートは何かあった際には、われわれは無力に等しく、逆に今では誰も乗る人(或いは所有する人)も居なくなってしまったアウトリガーのカヌーであれば、彼らの知恵や経験で何事も無かったかのように、ほとんどのケースで対処出来てしまうと思います。人間本来の身の丈にあったものなのかもしれません。われわれは背伸びし過ぎているんではないでしょうか。そんな気にさせられます。
伝統カヌーの技術を受け継いでいきながら、きっとこの様なことも若い世代へ感じていって欲しいという願いもあるのかもしれません。そして、今度は日本人である私は果たして如何なのだろう・・・と強く感じてしまいます。こういう視点からこの伝統カヌーを見つめてみると、ヤップの方々の生き方に強く敬意を持ちます。
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